Topに戻る 前のページに戻る

❸ あなたの顧客の姿をねりあげる

ここまでで、ビジネスの目的すなわち顧客に提供する価値が明確になり、その価値を実現する道筋のうち、最も実現の可能性が高く最もリスクが低い方法を選択することができ、それが競争者よりもより高い価値を顧客に提供するものであることに、あなたは自信を深めたでしょう。

次は、そのことを顧客にどう伝えるかです。戦略の4番目は「そのことをどうやって顧客に納得させ、ファンになってもらうか(マーケティング戦略)」でした。

マーケティングということばも、良く使われるのですが、日本語に置き換えるのが大変難しいことばの一つです。広告、宣伝、プロモーション。似たような意味の概念もたくさんあり、それらを区別できる人がどれほどいるでしょうか?しかしマーケティングと、広告などの概念との区別はとても重要です。

マーケティングは顧客中心の考え方であり、広告、宣伝、プロモーションは売り手中心の考え方です。

インバウンド・マーケティングとも言います。顧客に商品・サービスの価値を一方的に押し付けるのではなく、顧客が、提供しようとする商品・サービスの価値を、自然に知り、好感を抱き、提供者を信頼して、最終的に商品・サービスを購入してくれるところまで導く手法のことなのです。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: Jw7jq-T45WgW080ykBj2eBTjwf4CeEQGRDjZ5niA6ryYGxFi4JKbVKqlUxUglgfnBzoAO7O6i7LSaudILEX8Ue7TDOKuep84sAfeGD4v-9eH6Y1_VI8IUZvzypxpXxjqRWMLgOFk

    ビジネス戦略 その4 マーケティング戦略

  • マーケティングとは、提供しようとする商品・サービスの価値を、顧客が自然に知り、好感を抱き、提供者を信頼して、最終的に商品・サービスを購入してくれるところまで導く手法のこと
  • そのために、顧客に提供しようとする商品・サービスの価値を知らせる、コンテンツが重要。
  • マーケティング戦略の大部分が、コンテンツ戦略と重なる。

ここで、もう一度アヤメさんに登場してもらいましょう!

  • アヤメさんは、花が私たちの日常生活に与える価値に気が付いていても、「どうしていいか分からない」人々が大多数だと思い、その人たちにまず、「この価値を簡単に日常生活に取り入れるにはどうしたらいいか?」を伝えるコンテンツを作ろうと考えました。
  • 具体的には、「季節ごとの花とその特徴、私たち与える効果、世話の仕方」を整理したWebサイトを立ち上げること。切り花と野の花や花木を組み合わせ、花瓶を選んで美しく活ける、「活け花動画」のYou Tubeチャンネルを作る。そして、散歩の途中で出会った、草花の写真とコメントをTwitterに投稿する。この3つでした。
  • これらはアヤメさんが趣味で長年にわたって集めてきた、写真や資料を整理すれば簡単に作れそうでした。動画は初めてですが、しゃべりながら花木の枝の処理や、いけ方を説明する姿を自撮りしたら、なんとかなりそうだと思いました。
  • このコンテンツを少なくとも半年、できれば1年間公開して、ファンを作り、そのファンを顧客に育てていこうと、アヤメさんは考えたのです。

コンテンツ戦略を中心に据えた、すばらしいマーケティング戦略だと思います!(笑)

ところで、コンテンツ戦略の最初の課題は、ビジネスで提供しようとしている価値を伝える相手、届けようとしている顧客は誰か?という問いに答えをだすことです。そのような顧客のことを、潜在顧客とかターゲット顧客とか呼びます。まずその潜在顧客の姿を具体的に思い描くのです。

アヤメさんは、①アヤメさんの住んでいる家から、宅配が可能な半径5キロ圏内の、②戸建て住宅に住むアラフォーの主婦で、③ご主人の収入が増え、家のローンと生活費と教育費を引いても、月に10万円程度は自由になるお金があり、④子供に手がかからなくなった分(中学生になったので)、自分の時間を持ちたいと思っているのだが、⑤コロナのせいで家族の在宅時間は多く、自分が外出する時間は少なく、ストレスが溜っている・・・こういう潜在顧客をA。

もうひとつ。①ターミナル周辺のビル街のオフィスの、総務・庶務担当の女性で、②経営者や上司から、職場環境を良くして社員の「幸福度」を少しでも上げる方法はないだろうかと相談を持ち掛けられている・・・そういう潜在顧客をB。と仮定してみました。

このように潜在顧客の姿を具体的に、生き生きと描くことで、彼らのニーズや行動パターンが予測でき、そこに先回りをして適切なコンテンツを提供することができるのです(こういう顧客の具体的イメージを”ペルソナ”と呼びます)。

ただ、この手法には落とし穴があります。大きな落とし穴です。それは、思い描いた顧客像が、正しいという保証がないということです。既存のマーケティングのガイドには、「市場調査をやってみる」などと平気で書いてありますが、市場調査の専門家でもないあなたが、限られた情報と限られた資金で、統計的に意味のある調査ができるとは、考えられません。すると、どうしても自分が提供しようとしている価値に、顧客像を「引き寄せて」想定してしまうのです。「ラーメンのニーズを、職場帰りのサラリーマンの20~40代の男性」に限定してしまうようなものです。客観性の確保が難しいのです。

その点、アヤメさんの手法は優れています。ビジネスを開始する前に、潜在顧客として仮定した顧客層に向けて、実際にコンテンツを発信する。それに対する反応(再生回数、ダウンロード数)やチャンネル登録や「いいね」の数を見て、ニーズを細かく切り分ける。そして、コメントのやりとりをして本当の「ファン」を育てていく。これは客観性が保証される調査の仕方ですし、既に調査の域を超えて、ターゲット顧客の獲得にまで至っています。

ビジネスの立ち上げを急がないで、アヤメさんのように、1年くらいコンテンツ配信を行って、潜在顧客のニーズを見極めましょう!

Topに戻る 前のページに戻る

❹ 顧客の行動を先回りしてコンテンツを配置する

上に、「潜在顧客の姿を具体的に、生き生きと描くことで、彼らのニーズや行動パターンが予測でき、そこに先回りをして適切なコンテンツを提供することができる」と書きました。どういうことかというと、顧客は、まず自分が欲している価値を漠然と思い浮かべます。「癒されたい」でもいいですし、「美味しいものが食べたい」でもいいです。そして、スマホやパソコンで検索します。キーワード検索することもあり、Mapの現在地から「周辺で探す」をクリックするかもしれません。

そこでマーケティング戦略の次のステップは、想定したペルソナがどんなキーワードを使うだろうか、どういう場所のどういう時間帯にGPSを活用するだろうか、と考えることになります。そしてペルソナ顧客が用いるキーワードにひっかるような、Webサイトを構築するのです。

アヤメさんの場合は、次のような導線でコンテンツを配置しました。

Twitterで旬の花の名前で画像とコメントを投稿
アラフォーの生活と複雑な心境を混ぜる!それを#にすることもあり!
Webサイト「私の季節のお花図鑑」に誘導
保存版お花の図鑑資料をダウンロードさせる。メアドを書いてもらう。
生け花YouTubeチャンネルに誘導
活け方だけでなく、自分の家を舞台にインテリア・エクステリア・アレンジメントを紹介する。顧客とのやりとりを始める。

キーワードの絞り方については、次の章で説明します。ここではTwitterやFace Book、Webサイト、You Tubeという各種のメディアを使って、そのメディアの特徴を生かしたコンテンツを制作して、配置しておくことの意味を、アヤメさんの例で理解していただければ結構です。

あなたが提供しようとしている商品・サービスの価値を、ドンピシャで求めている顧客は非常に少ないはずです。顧客自身が、自分の欲求をはっきりと理解していないというのが真実だと思います。ですから、マーケティング戦略としては、潜在顧客を「含んでいる」と思われる「池」を選んで、浅く、広く網を投げ入れ、それにひっかかった、もとい、「共感してくれた」顧客に対して、欲求の具体化の道筋を示してあげることが重要です。

そしてその戦略の目的は、まずは、あなたとあなたの商品・サービスに対する、好感を得ること。好感を得たら、それを「信頼」に高めることです。アヤメさんのようにコンテンツのファンを何千人か、何万人作れれば大成功です。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: Jw7jq-T45WgW080ykBj2eBTjwf4CeEQGRDjZ5niA6ryYGxFi4JKbVKqlUxUglgfnBzoAO7O6i7LSaudILEX8Ue7TDOKuep84sAfeGD4v-9eH6Y1_VI8IUZvzypxpXxjqRWMLgOFk
  • 潜在顧客の顧客像(ペルソナ)を想定し、顧客が求めるであろう、商品・サービスに関係する様々な有益なコンテンツを用意する。
  • 顧客が自分の欲求を具体化する行動を想定し、それに沿って先回りしてコンテンツを配置する。
  • コンテンツへの顧客の反応に対応して、顧客の欲求をより明確なかたちにし、商品・サービスに対する好感、信頼感を生み出す。
  • コンテンツの配信が先行し、それにともなってターゲット顧客の集団を形成させるのが、最善のマーケティング手法。

Topに戻る 前のページに戻る

❺ 検索エンジンに気に入られるには?

さて、マーケティング戦略の中心にあるコンテンツを、潜在顧客あるいは、それよりもちょっと限定されたターゲット顧客に届けるには、顧客が行う検索行動によって、あなたのコンテンツが表示されなければなりません。

そして表示させるためには、顧客が入力する「キーワード」、または「キーワードの組み合わせ」で、あなたのコンテンツが表示されるよう「コンテンツを設計する」ことが必要です。TwitterやYou Tubeは、余り設計する余地がないので、ここではWebサイトについて原理的なことを、簡単に説明します。検索は、Googleを基本とします(Yahooなども同じ原理で動いていますので)。

Googleの検索エンジンAIは、顧客に役に立つサイトを高く評価する

検索でヒットしやすく、それも上位で表示されやすくするWebサイトの設計のことを、SEO(検索エンジンの最適化)といいます。SEOの考え方は、10年前と今では、劇的に変化しました。それはGoogleの検索エンジンの仕組み(アルゴリズム)が大きく変わったからです。

Googleの検索エンジンのAIは、あなたのWebサイトが、「その分野に詳しく、信頼でき、ユーザーが理解しやすい構造になっていること」を、高く評価します

前に、「顧客は、まず自分が欲している価値を漠然と思い浮かべる」「顧客自身が、自分の欲求をはっきりと理解していない」ということを言いました。ですので、顧客は検索するときも、そのように漠然としたキーワードを入れて検索します。とはいえ、顧客の目的は、自分の欲求をより具体化し、それにドンピシャで合致する商品・サービスを見つけることです。顧客にとって役に立つことを最大の使命と考えているGoogleの検索AIは、従って、漠然としたテーマから入り、次第にそれを掘り下げていき、最終的には顧客が求めるニーズに最適なコンテンツが見つかるようになっている、そういう構造のWebサイトを高く評価するのです。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: Jw7jq-T45WgW080ykBj2eBTjwf4CeEQGRDjZ5niA6ryYGxFi4JKbVKqlUxUglgfnBzoAO7O6i7LSaudILEX8Ue7TDOKuep84sAfeGD4v-9eH6Y1_VI8IUZvzypxpXxjqRWMLgOFk
  • Googleの検索AIは顧客にとって役に立つことを最大の使命と考えている。
  • だから、Webサイトが、「その分野に詳しく、信頼でき、ユーザーが理解しやすい構造になっていること」を高く評価し、検索の上位に表示させる。
  • Googleの検索AIに評価されるように、漠然としたテーマから入り、次第にそれを掘り下げていき、最終的には顧客が求めるニーズに最適なコンテンツが見つかるようになっている、そういう構造のWebサイトを作るべし。

Topに戻る 前のページに戻る

         e-Bookで読める、今だから特典 

● 「創業に失敗しない10のステップ」は、e-Bookとして無料で読むことができます。
● ご記入いただいたメールアドレスにダウンロードURLをお送りします。
● e-Bookは、総合編の他、深堀編やStepガイドは分野別に分かれていますのでリストから選んで、お申しつけください。