基礎知識 厚生年金と健康保険を分かりやすく

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経営者が知るべき厚生年金のイロハ

年金と健康保険は、税金と並んで私たちが生活していくうえで最も身近で、かつ重要な制度の一つだといっていいでしょう。ところが、2つとも自営業を営む人と会社勤めの人、被保険者本人と扶養者、そして個人と法人とでは、制度が大きく異なるので、当事者でないと基本的なことも知らないのが、実情ではないかと思います。

そこで、ここでは保険料の納付義務者でもあり、被保険者でもある会社経営者のあなたが知っておくべき、基礎知識を分かりやすく解説しようと思います。

強制適用事業所とは

これは、「総合編 個人事業主か法人か」でも書いているのですが、国民年金よりも厚生年金の方が、国民健康保険より全国健康保険組合の健康保険の方がメリットが大きいので、是非加入すべきです。というか、被保険者が1人以上いるすべての法人は、厚生年金保険と健康保険の加入が義務付けられています。そのような法人は「強制適用事業所」といいます。

法人に厚生年金保険と健康保険の加入が義務付けられているということは、従業員の保険料を、従業員本人と法人で「折半」するということです。実務的には、後ろで述べるように、給与から従業員分の半額を天引きし、会社負担分と合わせて年金事務所に納付します。

法人は、会社設立の日から5日以内に、管轄の年金事務所(または年金事務センター)に「新規適用届」を提出しなければならないことになっています。その電子申請のやり方は、「e-Govによる社会保険の届出と納付」で詳しく説明しています。

厚生年金の被保険者とは

強制適用事業所である法人で働いている人は、正社員に限らずアルバイトでも原則として被保険者になります。2か月以上連続して雇用する場合は、事業主が年金事務所に加入届を出さなければなりません。

標準報酬月額と年金保険料の計算

厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料は「標準報酬月額」を基にして算出されます。標準報酬月額とは、「標準報酬月額等級表」によって社会保険料を算出するための報酬月額の区分(等級)の金額のことをいいます。

標準報酬月額等級表で保険料を計算する

上の標準報酬月額等級表によれば、例えば会社がある従業員に支払う月額の報酬が 125,000円だとすると、6等級の範囲に入るので、6等級の「標準報酬月額」は126,000円になり、それに18.3%を掛けた値、23,058円が、会社とこの従業員が折半して支払う厚生年金保険料ということになります。その折半額も右に書いてあります。11,529円。

会社は、この人の9月分の厚生年金保険料11,529円を、この人の9月の給与から控除し(天引きし)、翌10月末日までに会社の負担分と合わせた23,058円を、年金事務所に納付するということになります。

健康保険には厚生年金とは別個の「保険料額表」がありますが、考え方は全く同じです。標準報酬月額の決め方には、色々なルールがありますので、それは次の健康保険のところで詳しく説明します。

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経営者が知るべき健康保険のイロハ

全国健康保険組合とは

全国健康保険組合は中小企業向けの医療保険制度を運営する保険者で、協会けんぽの愛称で呼ばれることもあります。企業独自で健康保険組合を設立することが困難な中小企業の役員や社員が被保険者となり加入する健康保険で、その扶養家族も特定の条件を満たしていれば被扶養者として保険給付を受けることが可能です。

政府管掌のもとで運営を行い、保険加入者とその企業が折半して支払う保険料や国庫からの補助金が財源となっています。保険料を計算するための保険料率は企業の事業所がある都道府県ごとに異なり、近年は保険料率も上昇傾向にあります。

健康保険の保険料率

健康保険料の料率は、健康保険の運営主体によって異なります。厚生労働省が管轄する全国健康保険協会(協会けんぽと、個別企業や同業種で組合を作って運営する健康保険組合があって(IT関係では「関東ITS健保」「TJK(東京都情報サービス産業健康保険組合)」が有名)、健康保険組合のほうが保険料率が低くなっています(つまり運営実績が協会けんぽより良い)。

保険料率の見直しは、厚生年金保険料率は9月に、健康保険料率はおおむね3月に行われるので、注意が必要です。ただし厚生年金保険料率は、平成29年9月分(10月納付分)から18.3%で固定されています。

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