年末調整の意味とやり方

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年末調整が必要なわけ

年末調整とは、「給与の支払者がその年最後に給与の支払をする際、給与の支払を各人別に、それまでその年中に給与を支払う都度源泉徴収をした所得税の合計額と、その年中の給与の支給総額について納付すべき税額(年税額)とを比較して過不足額の精算を行うこと」(国税庁の定義)です。

分かったようで分からない・・・定義ですね。

所得税額に過不足が生じるから

  • 第1の理由は、上で述べた理屈実務 の差です。理屈は税率の掛け算ですが、実務は税額の早見表の形式(近似値)になっているので、年間でトータルすると、少しのずれが生じるのです。
  • 第2の理由は、生命保険料の控除は、そもそも毎月の源泉徴収で控除していませんので、年末調整でまとめて計算しなおすことになります。サラリーマンに一番なじみのある手続きですね。
  • 第3の理由としては、年度の途中で扶養関係が変わったり、地震などの災害に遭遇したり、住宅を建替えたりするためのローンが発生したりする場合に、控除の対象やその額が変化することが考えられます。

国の税制がしょっちゅう変わるから

給与所得控除に関する国税庁の知らせ

これは令和2年の年末調整にあたって、前年度からの改正部分を告知した国税庁のホームページの一部です。ご親切にもその前段で、

【お知らせ】 〇 令和2年の年末調整は改正事項が多いため、控除誤りなどにご注意ください。  

と源泉徴収義務者に注意を呼び掛けています。税制は毎年のように変わるので、年末に調整する必要があるのですね。

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年末調整のやり方

年末調整の手順のあらましは次の通りです。詳しくは「Stepガイド 年末調整の電子申請」を参照してください。

年末調整は、その人に1年間に支払うべきことが確定した給与の額を合計して、次の順序で行います。下の図は先ほどの理屈の計算式をもう少し詳しくしたものです。

年末調整のやり方の図解

  • その年の1月1日から12月31日までの間に支払うべきことが確定した給与の合計額を基に「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使って、給与所得控除後の給与等の金額求めます。
  • そこから扶養控除などの所得控除を差し引きます。
  • この所得控除を差し引いた金額、すなわち課税給与所得金額(1,000円未満切捨て)に、所得税の税率を当てはめて税額を求めます。「年末調整等のための算出所得税額の速算表」を使います。
  • 年末調整で住宅借入金等特別控除を行う場合には、この控除額を税額から差し引きます。
  • この控除額を差し引いた税額の102.1%すなわち1.021をかけた税額(100円未満切捨て)が、その人が1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税(年末調整における年税額)になります。
  • 源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の合計額が1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税額より多い場合には、その差額の税額を還付します。逆に、源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の合計額が1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税額より少ない場合には、その差額の税額を徴収します。

    年末調整の過不足額の精算方法の詳細は国税庁のホームページのこちらにあります。

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年末調整の時に提出する申告書

各種の控除を受けるためには、年末調整の時までに(つまり「その年の最後に給与等の支払いを受ける日の前日」までに)、管轄税務署にそれぞれの控除に対する申告書を提出しなければなりません(ただし、2,000万円を超える給与の支払を受ける人は、年末調整の対象になりません)。

次に主だった控除の種類と申告書の名称を掲げます。

年末調整時に税務署に提出する控除申告の一覧

令和2年からこれらの控除申請の申告書の電子化が始まっています。詳しくは、国税庁ホームページのこちらを参照してください。

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以上で、所得税の源泉徴収と年末調整についての解説は終わりです。次は、住民税です。

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