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標準報酬月額と算定基礎届

標準報酬月額はどうやって決まる

標準報酬月額を算定する際の報酬には、基本給以外にも定期的に支払われる交通費(通勤手当)や時間外手当など、会社から受け取る労働の対価となるものについてはすべて計算に含まれます。大まかな分類を示したのが次の表ですが、ようするに固定的な手当ては報酬に含まれるということです。

報酬となるもの 固定的給与基本給(月給・週給・日給)、通勤手当、家族手当、扶養手当
非固定的給与時間外手当、休日手当
報酬とならないもの 出張旅費、交際費、慶弔費、年3 回以下の賞与

標準報酬月額等級表を用いて、標準報酬月額と保険料率を決める方法は、厚生年金の場合と同じですが、健康保険の場合は厚生年金と異なり、都道府県によって保険料率が異なります。

健康保険料の都道府県別、標準報酬月額表その1
全国健康保険協会(協会けんぽ)の都道府県別健康保険料gががkがく額表
健康保険料の都道府県別、標準報酬月額表その2

左の都道府県のリストから、例えば埼玉県を選ぶと、右の保険料額表が表示されます。厚生年金の時と同じように、ある従業員の報酬(固定的手当等を含む)が125,000円だとすると、健康保険の保険料率は黄色いブロックで囲んだところになります。

ここで注意すべき点が2点あります。一つは、右の表の下にブロックで囲った、「子ども子育て供出金」です。これは児童手当の財源として、事業主に拠出が義務付けられている部分で税金と同じです。標準報酬月額の0.36%(x 0,0036)となります。もう一つは「介護保険第2号被保険者」という概念で、これは次に説明します。

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介護保険の第2号被保険者とは

  • 40歳以上65歳未満の健康保険加入者は、「介護保険第2号被保険者」となり、介護保険料が健康保険料に上乗せされます(先ほどの埼玉県の例だと、健康保険料率9.8%に介護保険料率1.8%が付加されます)。介護保険料を支払った被保険者本人と被扶養者は、要介護の認定を受ければ、介護サービスを利用することができるようになります。
  • 被保険者が40歳未満ならば、2号保険者に該当しませんので、保険料率は9.8%のままです。

*組合管掌の健康保険では、被保険者が40歳未満でも、40歳以上65歳未満の家族を被扶養者にする場合には、その被保険者から介護保険料を徴収できる特例的な制度が設けられている場合があります。これを「特定被保険者制度」といいます。しかし「協会けんぽ」の場合は、この制度を採用していないので、参考までに覚えておいてください。いつ制度が変わるか分からないので・・・


標準報酬月額はいつ決まる

標準報酬月額の決定及び改定の時期は次の5つがあり、それぞれの時期に市区町村および年金事務所に届出なければなりません。

  • 資格取得時決定:会社設立の時、および従業員が新たに被保険者資格を取得したとき
  • 定時決定:毎年1回、4月~6月の報酬を基に「算定基礎届」を提出し、9月以降1年間の保険料を決める
  • 随時改定:報酬額が大幅に変動した時
  • 産前産後休業終了時改定
  • 育児休業等終了時改定
資格取得時決定

法人を設立した時の、新規適用届と一緒に提出するもので、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」といいます。ここには1ヶ月当たりの報酬の見込額を記入します。決定された額は、その年の8月まで適用されます。新規適用届と被保険者資格届の電子申請のやり方は、「eGovと社会保険関係の届出」で詳しく説明しています。

定時決定

従業員に社会保険の被保険者がいる事業所は、毎年6月に標準報酬月額を見直し、その内容を記載した書類「算定基礎届」を7月10日までに提出します。このようにして保険料が決まることを定時決定といいます。

標準報酬月額を計算する際は、4月から6月の報酬支払い日数が17日以上ある月分の報酬平均が用いられます。報酬支払基礎日数が17日未満の月がある場合は、その月を除いて標準報酬月額が決定されます。

算定基礎届は、7月1日時点での社会保険加入者全員について届出が必要ですが、6月1日以降に資格を取得した人や、7月からの月額変更に該当する場合は対象外となります。算定基礎届の電子申請のやりかたは、「Stepガイド 算定基礎届の電子申請のやり方」で説明しています。

随時決定

次の3つの条件のいずれにも当てはまった場合は、「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」を提出して随時改定を行います。

1.昇給、減給などで賃金が大幅に増減した

毎月一定の金額が支払われる賃金を固定的賃金といいますが、もし何らかの事情で固定的賃金の額が大きく変動した場合で、

2.継続した3ヶ月間の月平均額が2等級以上変動した

固定的賃金の金額が大きく変動した月と、その後2ヶ月の固定的賃金を合わせた3ヶ月の報酬月額の平均金額が、変動前の月平均額と比較して2等級以上変動し、かつ

3.連続する3ヶ月間の報酬支払基礎日数が17日以上

固定的賃金が変動した月と、その後2ヶ月の固定的賃金を合わせた3ヶ月の報酬支払基礎日数が17日以上の場合は、随時改定の手続きをします。

厚生年金と健康保険に関する基礎知識は以上です。次のセクションからは、ここで学んだ基礎知識をベースに、実際の届出や申告、納付の電子申請を行う手順に勉強を進めていってください!

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